本稿では、私が点群データの計測に苦戦した経験から、3次元計測の手法をまとめております。
私が3次元データの取り扱いをしようと思っていたとき、点群データを活用する様々な手法は多く情報がある一方で、そもそもの点群データの取得法は少なかった印象です。
私と同じように点群データを取得できずにスタートラインにすら立てない方々に向けて記事となります。
3次元計測の手法
3次元計測できる装置には様々なものがあります。おそらく、この記事を読む皆さんは、ToF (Time-of-Flight)によるものとカメラによるものを、イメージするのではないかと思います。しかし、実は3次元計測するのであれば、プローブなど接触式であっても良いのです。
まぁ、とは言っても、自動車や産業用ロボットで利用されるのは、前者(ToF、カメラ)の光学式センサです。接触式に比べて格段に網羅性、即時性に優れています。
光学式の3次元センサはステレオ法とToF法に大別出来ます。以降はこれらについて解説していきます。
ステレオ法
ステレオ法とは、2つの光学系の視差から奥行きを計算することで3次元座標を計測する方法です。つまりは、人間が物体の位置を認識する方法に同じです。2点以上の光学系 (キャリブレーション済み) から2次元座標を取得し、その視差から3次元座標を計算します。このとき三次元座標はエピポーラ幾何に基づき計算します。
この方法の課題の一つに「対応する座標の取得 (マッチング)」があり、解決するために様々な方法が提案されています。ここでは、2つの主なシステムを紹介します。
1つ目は、プロジェクタとカメラを組み合わせた装置(プロジェクタ・カメラシステム)でこれらの視差から3次元計測する手法でアクティブステレオ法と言います。プロジェクタからライン光やパターン光を投光し、対応画素を見つけやすくすることで、視差を得ています。
2つ目は、2台のカメラで構成される装置(ステレオカメラシステム)でカメラ間の視差から3次元計測する手法でパッシブステレオ法と言います。画像の小領域から一致度から対応画素を探索するステレオブロックマッチングにより、画像の対応を得ます。しかし、この方法では表面テクスチャがない物体の視差を得ることは難しいです。
ToF法
ToF(Time-of-Flight)法とは、光が照射してから返ってくる時間を計測することで光が往復にかかった時間から奥行きを求める計測手法です。ToF法のデメリットとしては、外乱光や対象物体の反射率が挙げられます。
ToFで利用する光がレーザー光である場合は、LiDAR (Laser Imaging Detection and Ranging) と呼ばれます。AMRやドローンを始めとした自律移動型ロボットによく利用されています。また、ミリ波の場合はRADAR (Radio Detection And Ranging) と呼ばれます。雨雲レーダーや航空機の管制などに利用されています。